王女の誕生日 世にも醜い存在
王女の誕生日 世にも醜い存在
その小人は世にも滑稽で醜かった。
だけど小人が暮らしていた森には鏡というものがなかった。
それで小人は、自分が世にも滑稽で醜い容姿であることを知ることもなく、いたって平和に毎日を生きていた。
ある日、小人は、お城の家来たちに無理やり森から連れ出されてしまった。
そして
「なにか珍しいものが見たいわ」という王女さまの誕生日祝いの贈り物として
王女の前に差し出された。
なにも知らない小人は、一生懸命王女の前で踊ってみせる。
小人が一生懸命になればなるほど、その姿がまた世にも醜く滑稽だったので、
王女はおおいに笑う。その笑いはあざけりの笑いだ。
嘲笑それはこの世でいちばん残酷な笑いだ。
「こんな花のように美しくて愛らしい王女さまに喜んでいただけるなんて
ぼくはなんてしあわせものなのだろう」
小人は、王女にささやかな恋心を抱く。
「王女さまのためなら、ぼくは永遠にだって踊りつづけてみせる
ぼくのおどりで王女さまは、こんなにも笑って喜んでくださっている
のだから、ぼくはがんばる、ぼくは、力の限り躍り続ける」
「あんなに滑稽で醜くて不細工は生き物がこの世に存在しているなんて
なんだかとってもおかしいわ。でかしたわ。よくぞ探し出してくれたわ
おかげで、わたくしの退屈さもいくぶんまぎれてよ、あーーおかしかった
あーーみにくかった」
そんなふうに、小人の知らないところで、王女は家来たちをほめたたえていた。
そんなある日のこと
つづく